
「実家の納屋を開けたら、埃をかぶったトラクターや耕運機が何台も放置されている……」
「親が施設に入って誰も使わなくなった農機具、処分するにも方法がわからなくて途方に暮れている」
田舎の実家を整理する際、多くの人を悩ませるのが、この「実家の農機具どうする?」問題です。
「動くかどうかも分からないし、鉄くずとして処分費用を払って捨てるしかない」と諦めていませんか?
実は、その判断、数百万円単位で損をしてしまう可能性があります。
一見ボロボロに見える日本の農機具は、世界的に見れば「お宝」そのもの。正しい知識とルートで手放せば、高額で現金化できるケースが非常に多いのです。逆に、知識がないまま進めると、本来もらえるはずのお金を失うばかりか、税金や法的なトラブルに巻き込まれてしまうリスクさえあります。
この記事では、農業の知識が全くない方でも安心して進められるよう、「損をしない農機具の処分・売却手順」を分かりやすく解説します。
実家の片付けをスムーズに終わらせ、資産を無駄にしないために、ぜひ最後までお読みください。
この記事を読んでわかること
- なぜボロボロの農機具でも高く売れるのか(海外需要の秘密)
- 「お金を払って処分」と「買取」の明確な境界線
- 知識ゼロでも騙されずに査定を依頼する具体的な手順
- トラクターの廃車手続きや税金に関する必須知識
この記事がおすすめな人
- 実家の納屋にある大量の農機具の処分に困っている人
- 農業経験がなく、機械のメーカーや使い方が全くわからない人
- 親の施設入所や相続に伴い、実家じまいを進めている人
- 悪質な業者に騙されず、適正価格で現金化したい人
実家の農機具、どうする?「捨てる」前に知っておくべき3つの真実

「こんな錆びだらけの機械、どうせゴミだろう」
まず初めに、その思い込みを捨ててください。結論から言うと、いきなり「廃棄処分」や「スクラップ」を検討するのはNGです。
多くの人が「鉄くず」だと思っているものが、実は中古車市場よりも活発な「グローバルな争奪戦」の対象になっているからです。ここでは、処分前に必ず知っておくべき3つの真実をお伝えします。
1. なぜボロボロの農機具でも値段がつくのか?海外需要の仕組み
日本の農機具は、世界中で「30年前のモデルでも現役バリバリ」という驚異的なブランド力を持っています。
特にクボタ(Kubota)やヤンマー(Yanmar)といったメーカーの製品は、エンジンが頑丈で壊れにくく、構造がシンプルで修理しやすいため、ベトナム、タイ、カンボジアなどの東南アジアや、欧州の農家から絶大な人気を誇っています。
なぜ古い日本製品が人気なのか
- エンジンの強さ: 日本のディーゼルエンジンは耐久性が非常に高く、多少外装が錆びていても、エンジンさえ生きていれば高値で取引されます。
- 修理のしやすさ: 最新の電子制御満載の機械よりも、昔ながらの機械的な構造のほうが、現地の修理工にとって扱いやすいため、あえて古い型式が好まれるという「逆転現象」が起きています。
実際の買取相場例
例えば、1980年代に製造されたクボタの「L1シリーズ(L1-20など)」は、40年以上前のモデルですが、状態が良ければ20万円〜45万円ほどの値段がつくことが珍しくありません。
比較的新しいKLシリーズであれば、50万円〜100万円以上になるケースもあります。
たとえ日本国内では「古すぎて誰も使わない」とされる機械でも、海を渡れば「最高級の生産設備」として生まれ変わるのです。これが、ボロボロでも値段がつく最大の理由です。
2. 処分費用を払うのは損!買取と有料処分の境界線とは
農機具の処分には、「お金を払って捨てる(有料処分)」と「お金をもらって引き取ってもらう(買取・無料引取)」の2つのパターンがあります。
市場データによると、実家にある農機具の9割以上は、少なくとも「無料引き取り」か「買取」が可能です。
| 状態 | 処分の方向性 | 理由 |
|---|---|---|
| エンジンがかかる | 高価買取 | 国内外で需要あり。 即戦力として取引される。 |
| 不動だが部品は揃っている | 買取 or 無料 | 部品取り(パーツ)や 修理ベースとして価値がある。 |
| 完全に水没・大破 | 有料処分の可能性 | 金属資源(スクラップ)としての 価値のみになる場合も。 |
有料処分を選択した場合、トラクター1台あたり1万5千円〜3万円程度の処分費に加え、運搬費が別途請求されるのが一般的です。
「動かないから処分料がかかるだろう」と自己判断して、業者にお金を払って引き取ってもらうのは非常にもったいないことです。まずは「売れる」ことを前提に動くのが正解です。
3. 農業知識ゼロでも大丈夫?メーカーや型番が不明な時の対処法
「親が亡くなって詳細がわからない」「どのメーカーの何という機械なのか検討もつかない」
そんな状態でも、査定や処分は全く問題なく進められます。
現代の農機具買取は、スマホひとつあれば解決します。
わざわざ重い機械を引っ張り出して型番をメモする必要はありません。LINE査定やメール査定を行っている業者がほとんどなので、以下の写真を撮って送るだけで、おおよその査定額(概算)を教えてもらえます。
撮影すべき写真のポイント
- 機械の全体写真(前後左右)
- 銘板(プレート)の写真(車体の横や足元にある、型式や製造番号が書かれた金属プレート)
- アワーメーターの写真(運転席にある稼働時間計)
専門的な知識がなくても、「実家の片付けで出てきた」と伝え、写真を送るだけで、プロが勝手に価値を判断してくれます。無理に動かそうとして壊してしまうリスクを避けるためにも、「現状のまま写真だけ撮る」ことから始めましょう。
【フローチャート付】農機具の状態別・ベストな処分方法の選び方
「結局、うちはどこに頼めばいいの?」
農機具と一口に言っても、大型のトラクターから手持ちの草刈機まで千差万別です。
自分の状況に合わせて最適な依頼先を選べるよう、判断基準を整理しました。迷ったら以下の基準を参考にしてください。
動く・比較的新しい農機具なら「農機具買取専門店」一択
対象: トラクター、コンバイン、田植え機など(エンジン搭載の大型〜中型機械)
まだ動く、あるいは故障していても比較的新しい(20年以内など)機械がある場合は、「農機具買取専門店」が最も高く売れます。
彼らは国内での再販ルートだけでなく、世界中に販路を持っています。「JA(農協)」は基本的に新品への「買い替え(下取り)」を前提としていることが多く、処分のみの場合は専門店の方が高値が出やすい傾向にあります。
専門店へ依頼するメリット
- メリット: メーカーや型番を問わず、適正な市場価格で現金化できる。
- 注意点: 業者によって得意なメーカーが違うため、複数社への見積もりが必須。
故障・不動・20年以上前の古い型式なら「輸出・貿易業者」
対象: 納屋で埃を被っている30〜40年前の古いトラクター、エンジンがかからない機械
ここが多くの人の勘違いポイントですが、古くて動かない機械こそ、専門店や貿易業者の出番です。
前述の通り、海外では部品取りや修理ベースとしての需要が絶大です。リサイクルショップでは「引き取り不可」と言われるようなボロボロの機械でも、彼らにかかれば「お宝」になります。
ポイント
- ポイント: 「専門店」の中には輸出部門を持っている会社が多いので、まずは専門店に相談し、ダメならスクラップ業者という順序が鉄則です。
小型機械・農具・資材なら「リサイクルショップ」か「地元の便利屋」
対象: 歩行型耕運機、草刈機、チェーンソー、鍬(くわ)、鎌などの小物
エンジンが付いていない手道具や、持ち運びできる小型機械は、専門店の出張買取では対象外(またはコスト割れ)になることがあります。これらは地元のリサイクルショップへ持ち込むか、不用品回収業者・便利屋にまとめて依頼するのが効率的です。
少しでも高く売るために!査定依頼前にやっておくべき準備
査定員が来る前に「何をすべきか」で、買取金額が数万円変わることもあります。
しかし、良かれと思ってやったことが、逆に機械を壊してしまうこともあるので注意が必要です。
納屋の奥でもそのままでOK!無理に動かさず現状維持を
「エンジンがかかるか確認しておこう」
この親切心が、実は一番危険です。
長期間(数年以上)動かしていないエンジンの内部は、オイルが落ちきってカラカラの状態になっています。この状態でいきなりエンジンをかけると、金属同士が擦れて傷つく「ドライスタート」という現象が起き、最悪の場合、エンジンが焼き付いて壊れてしまいます。
注意
-
- 正解のアクション: バッテリーが上がっていても、タイヤがパンクしていても、絶対に無理に動かさないこと。
業者はジャンプスターターやウインチを持参してくるので、納屋の奥にあるままで査定してもらえます。「動くかわからない」と正直に伝えればOKです。
泥汚れはそのままでいい?簡単な清掃と査定額の関係
ピカピカに洗車する必要はありませんが、泥団子がこびりついているよりは、ある程度きれいな方が「大事に使われていた」という印象を与え、査定員の心理的評価(心証)が良くなります。
ここだけチェック
- 鳥のフンや大きな泥汚れを水で流す程度で十分です。
- タイヤのひび割れやオイル漏れを隠すような塗装は絶対にNGです(プロにはすぐバレて、逆に信用を失います)。
付属品・パーツ・取扱説明書を探しておこう
農機具には「ロータリー」などのアタッチメント(作業機)や、予備のパーツが付属していることがよくあります。これらが揃っていると、査定額がグンと上がります。
探すべきものリスト
- 探すべき場所: 納屋の棚、仏壇の引き出し(鍵や書類)、道具箱の中。
- 特に「鍵」と「販売証明書(または取扱説明書)」は見つかるとスムーズです。
要注意!農機具を売る・処分する際に必要な「公的」手続き
農機具の処分は、ただ売れば終わりではありません。
特にトラクターは法律上「自動車」と同じ扱いを受けるものがあり、適切な手続きをしないと、手放した後も税金の請求書が届き続けることになります。
ナンバープレートが付いているトラクターは「廃車手続き」が必須
トラクターや乗用コンバインの多くは、公道を走る・走らないに関わらず、「小型特殊自動車」として市町村に登録されている場合があります。 車体の後ろを確認してみてください。緑色などの小さなナンバープレートが付いていませんか?
もし付いているなら、売却や処分の前に「廃車手続き(登録抹消)」が必要です。
廃車手続きの概要
- 手続き場所: お住まいの市町村役場の税務課など。
- 必要なもの:
- 外したナンバープレート
- 印鑑(認印で可の場合が多い)
- 標識交付証明書(紛失していても手続き可能な場合が多い)
- 本人確認書類(免許証など)
- 注意: 業者が代行してくれる場合もありますが、任せきりにせず「廃車申告受付書」のコピーを必ずもらうようにしましょう。
軽自動車税の「4月1日ルール」に注意
軽自動車税は、毎年4月1日時点の所有者に課税されます。
もし、処分が4月2日になってしまった場合、その機械はもう手元にないのに、1年分の税金を払わなければなりません。月割りの返金制度もないため、「3月31日までに手続きを完了する」ことが、無駄な出費を抑えるための絶対条件です。
所有者が亡くなっている場合は?相続に伴う売却の注意点
名義人である親御さんが亡くなっている場合、その農機具は「遺産」となります。
基本的には、代表者が手続きを行えば売却可能ですが、以下の点は押さえておきましょう。
相続・売却時のチェックポイント
- 遺産分割協議: 兄弟などの相続人全員に「農機具を売却して処分する」ことの同意を得ておくこと。後で「あれは俺が継ぐつもりだった」などのトラブルを防ぐためです。
- 書類: 役場での廃車手続きの際、通常の書類に加え、「戸籍謄本(所有者の死亡がわかるもの)」や「遺産分割協議書」が必要になる場合があります。
- ※自治体によっては、簡易的な「相続人申立書」一枚で手続き可能な場合も多いです。事前に役場へ電話で「親が亡くなったのでトラクターを廃車したい」と確認するのが確実です。
離農に伴う「農機具以外の納屋のゴミ」はどう処理する?
農機具本体の処分方針が決まっても、納屋にはまだ「農薬」「肥料」「燃料(軽油・ガソリン)」などが残されていることが多いでしょう。
これらは、農機具以上に処分の難易度が高い「厄介者」です。
注意:農機具以外の処分について
- 農薬・除草剤: 原則として自治体のゴミ回収には出せません。「産業廃棄物」扱いとなるため、JA(農協)が実施している不用農薬回収(有料)を利用するか、産業廃棄物処理業者へ依頼する必要があります。
- 処分費用の目安: 一般的な農薬で200〜400円/kg程度ですが、水銀を含む古い農薬などは5,000円/kg以上かかるケースもあります。
- 燃料・廃油: 中身が入ったままのポリタンクやドラム缶は危険物です。ガソリンスタンドや、農機具買取業者に相談してみましょう(買取と同時に引き取ってくれる場合もあります)。
- 肥料: 未開封なら買い手がつくこともありますが、開封済みや湿気たものは、自分の畑に撒いて処分するか、産廃業者への依頼となります。
騙されないために!優良な農機具買取業者の見分け方と選び方
農機具買取業界には、残念ながら高齢者を狙った悪質な「押し買い」業者も存在します。
大切な実家の資産を守るために、信頼できる業者を見分ける3つのチェックポイントをお伝えします。
1. 会社の所在地と「古物商許可証」を必ずチェックする
ホームページに「会社の住所」と「古物商許可番号」(公安委員会から交付された12桁の番号)が明記されているか確認してください。
実態のない業者や、許可を持たないモグリの業者は、トラブルが起きた際に連絡がつかなくなるリスクがあります。
2. 「国内販売」だけでなく「海外輸出ルート」を持っているか
前述の通り、古い農機具が高く売れる理由は「海外需要」です。
国内の農家向けにしか販売していない業者は、古い機械を「再販できない=価値なし」と判断せざるを得ません。
ホームページに「海外輸出実績」や「貿易」の記載がある業者を選ぶことが、高額査定への近道です。
3. 出張査定費・引取費用が「完全無料」かを確認する
「査定は無料ですが、引き上げのトラック代として3万円いただきます」
後からこのような費用を請求してくる業者には注意が必要です。
契約前に、「査定費」「出張費」「引取費(運搬費)」がすべて無料か、もし買取不成立の場合でもキャンセル料がかからないかを確認しておきましょう。
ネットオークション(ヤフオク・メルカリ)での個人売買はおすすめ?
普段からフリマアプリを使っている方は、「自分で売ったほうが中間マージンがない分、高く売れるのでは?」と考えるかもしれません。
しかし、農機具に関しては個人売買は推奨しません。
輸送手配とトラブルのリスクが高すぎる
個人売買のリスク
- 輸送の壁: 農機具は宅配便では送れません。特殊な積載車の手配が必要で、県外への輸送だけで10万円以上かかることもザラにあります。
- クレームリスク: 「エンジンがかかると書いてあったのにすぐ止まった」「写真より錆がひどい」といったトラブルが非常に多いジャンルです。
- 名義変更: 相手が手続きをしてくれず、税金トラブルに発展するケースもあります。
実家が遠方にある場合、引き渡しのために何度も往復する交通費と手間を考えれば、プロの業者に任せて一括で現金化する方が、結果的に手残り(利益)は多くなるケースがほとんどです。
実家の農機具買取でよくある質問(FAQ)
Q. エンジンがかからない不動車でも本当に買い取れますか?
A. はい、買い取れる可能性が高いです。
部品取りとしての需要や、修理して輸出するルートがあるためです。ただし、完全に水没している場合や火災車両などは値段がつかないこともあります。まずは査定に出してみましょう。
Q. 納屋ごとの解体や、家財道具の片付けも一緒に頼めますか?
A. 業者によります。
農機具買取専門店の中には、遺品整理業者や解体業者と提携しているところもあります。「農機具の買取金額」を「片付け費用」から相殺することで、持ち出し費用を安く抑えられる賢い方法も提案してもらえます。
Q. JA(農協)に引き取ってもらうことは可能ですか?
A. 可能ですが、費用がかかる場合があります。
JAは基本的に「新品への買い替え」をサポートする組織です。処分のみを依頼する場合、リサイクル料金や運搬費を請求されることが一般的です。
Q. 30年〜40年前の古いトラクターでも値段はつきますか?
A. クボタやヤンマーなら大歓迎されます。
特に「クボタ・L型」などの名機と呼ばれるシリーズは、40年前のものでも驚くような高値がつくことがあります。絶対に捨てずに査定を受けてください。
まとめ:実家の農機具は「捨てる」より「売る」が正解!まずは無料査定へ
実家に眠る農機具は、放置すれば税金や劣化のリスクを負う「負債」になりますが、正しく動けばまとまった現金になる「資産」です。
「よく分からないから」と先延ばしにしたり、安易にお金を払って処分したりするのが一番の損失です。
以下のステップで、まずは現状の価値を知ることから始めてみてください。
売却までの4ステップ
- 現状把握: 納屋に行き、機械の全体と「型式プレート」の写真をスマホで撮る。
- 無料査定: 農機具買取専門店のWebサイトやLINEから写真を送り、概算査定額を聞く(相見積もりがおすすめ)。
- 現地確認: 金額に納得できる業者に来てもらい、正式な査定と引き上げを依頼する。
- 手続き: ナンバーが付いている場合は、役場で廃車手続きを済ませる。
あなたが「ゴミだ」と思っているその農機具を、世界のどこかで必要としている人がいます。
賢く手放して、実家の片付けをスムーズに終わらせましょう!